昨夜、JR東海はリニア中央新幹線の環境影響評価準備書の公表に伴う説明会を大鹿村で開きました。住民を中心に163人が参加。
南アルプスを貫く長大トンネルのため、村内は大量の残土が排出される計画です。
約50分のJR東海からの説明の後、質疑では残土運搬や水資源についての影響を懸念する声が相次ぎました。
大河原地区にはトンネル掘削のため非常口となる作業用トンネルが4カ所設けられるほか、変電施設が設けられる計画です。
トンネル掘削に伴い村内で出る残土は298万立方m。工事用車両の台数は1日最大1736台としました。土砂輸送は既存の国道や県道、村道を使うということなので、例えば朝7:00~5:00の工事としても、20秒に1台のペースで村内のメインストリート、R152を通過するという事になります。残土の受け入れ先は決まっておらず、現在、県や地元自治体と協議中ということですが、仮置き場が決まり次第、工事には着工したいという印象でした。
また、「水枯れ」については「地下水や水資源の予測結果は妥当」としました。山梨リニア実験線沿線では、枯れることがないとされた水源が枯渇したり、各地で水量の減少や枯渇が起きているにも関わらず、この言い分には唖然としました。
全体説明や質疑応答でも「影響を最小限にするよう努める」「低減する」「影響が少ないと予測する」「適切な方法に基づいて」など、工事する側に都合のいいような言い回しばかりで、住民としては全く納得がいきません。準備書の段階においても不確定なところが多すぎて話しになりません。
村内で議論をし、まとめて県やJR東海に働きかけていく必要がありそうです。
JR東海では、リニア新幹線計画準備書の意見を11月5日まで募集しています。より多くの方に御意見をお寄せいただきたく、よろしくお願します。(※詳細はこちら)
専門的な事柄が多く、膨大な量ですが、すべてに目を通す必要はありません。大鹿村や伊那谷を訪れた事のある方は、個人的な旅人としてのご意見、感想で十分ですのでお寄せいただければ幸いです。
~養老孟司さんのことば・朝日新聞2002年1月8日付から~
『(日本は)いまだに国土の7割が森林で、歴史上の大地震の5%、大噴火の20%が起きる国です。自然は思うようにならないと肌にしみている。だから、自然に手を入れて折り合いをつけてきた。里山的な生活です。こうした伝統的な生き方を取り戻さないといけない。自分はどんな生き方をしたいのか。脳で考えるのではなく、体で感じて謙虚に生きる方法を取り戻さないと、本当に手遅れになります。』
これからの社会にリニア中央新幹線は必要ですか?
自然を代償に「便利」や「速さ」を追求する必要はないほどに足りている世の中ではないでしょうか。