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月別アーカイブ: 2014年9月
日本ジオパーク大会 大鹿村コースツアーが開催されました
貴重な地形や地質が見られる日本ジオパークの第5回全国大会は、「南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク」を構成する伊那市、飯田市、下伊那郡大鹿村、諏訪郡富士見町の見どころを巡るツアーを行いました。
思わず手をひろげて深呼吸したくなるような青空が広がりました。
絶好のフィールドワーク日より。
村内の絶景スポット、夕立神パノラマ公園では、赤石山脈、木曽山脈がくっきり。遠くの槍ヶ岳まで見渡せました。今回ツアーに参加された方は総勢約30名あまり。北は北海道、西は高知県、愛媛県といった御顔ぶれ。全国のジオ関係者の熱心ぶりに関心させられました。
地質学に魅せられた方たちにとって南アルプスの中央構造線エリアは「聖地」とのこと。
ふだん当たり前にあるその景色や見えるものを外からの眼で評価していただくことは尊いことです。
及ばずながら、大鹿村のコースツアーガイドを務めさせていただきました。
地質の専門的なことは分かる方にお任せして、主に生活者としての「地質境界」の活用や村の歴史、民俗的なお話をさせていただきました。
参加された皆さんが河原で落ちている石を興味深くご覧になっているのが印象的でした。
一番人気だったのが石灰岩です。
大鹿村の谷はいろんな石の種類が見られるとは聞いていましたが、皆さんの興奮ぶりに嬉しくなりました。
ここでもやはり、村の多様性の充実ぶりを感じました。
ツアー後半はご要望にお応えして、予定を変更。
塩の里でお買いもの時間と、10月に行われる秋の歌舞伎会場の見学を組み入れました。
地球の営み(地形)は地域と地域を結び、人と人を交流させ、文化を醸します。
そのプロセスが残る場所「大鹿村」を実感しています。
今後そんな「大鹿村」をどのように演出していくと面白いのか、いいテーマをいただきました。
貴重な経験をさせていただきました。
ありがとうございました。
秋のかほり
秋の手仕事
「ドッドッドド、ドン、ドン、ドン・・・」
朝食の時間に、耳触りそっちのけで作業をさせていただいています。
気になる音は、ゆでた栗をすり鉢で潰している音です。
庭の栗が絶え間なく落ちてきます。
秋は栗仕事に余念がありません。
夜なべで栗をゆで、ほじくりかえし、
朝仕事に「潰す」という作業が続いています。
すべてはお茶受けの「茶きん絞り」のために。
尚、この季節仕事は栗の収穫においつていません。
右馬允ご利用の際は是非、栗ひろいにご協力くださいませ。
もちろんTAKE FREE
ひろった栗はお持ち帰り頂き、ご家庭で栗料理をお楽しみください。
紙谷正さんの稲刈り
気持ちのいい、スカンッとした青空が広がっています。
「金色の田んぼ」に立つときが来ました。
稲刈りです。
村一軒の養蚕農家 紙谷正さんはここ数日、お蚕様や畑仕事の合間を縫っては稲刈りをスタートさせていました。
「いつでも送っていいよ大作戦in大鹿」では、杭やナルを運んだり、はざ掛けのお手伝いをさせていただきました。
乾いた稲穂の香りは心地がよかったです。
驚愕の野沢菜畑
「くみが蒔いたところは、まばらにしか生えてこんぞ」
といわれたので、先日、種まきを手伝わせていただいた濱中千鶴さん家の畑を見に行きました。
驚愕の実態。
千鶴さんの蒔いたところは規則的に野沢菜が芽生えているのに、私が植えたところはまばらです。
冬の野沢菜仕込みはどうなってしますのでしょう・・・。
種まきの「絶妙な手加減」を実感するのでした。
「イギリス刺繍と大鹿の絵展」☆絶賛開催中!
現在、大鹿村木工体験交流施設「KASUGAI(カスガイ)」にて、「イギリス刺繍と大鹿の絵展」が10月28日(日)まで開催されています。
様々な伝統技法でひと針ひと針表現されるイギリス刺繍に息をのみます。
ダイナミックかつ時に繊細に描かれる大鹿の景色に晴れ晴れとします。
共に大鹿村出身!大鹿村で培われた感性を是非ご堪能ください。
<イギリス刺繍>
■ 中村 鹿林 (なかむら かりん)
大鹿村釜沢生まれ
2011年に飯田高校を卒業後 同年9月より 英国立刺繍学校で学ぶ
2014年6月ディプロマを取得
<大鹿の絵>
■ LEN/青木 連 (あおき れん)
大鹿村下青木出身・在住
2009年より全国各地へ出向き即興絵画(ライブペインティング)をはじめる。村内では「大鹿かるた」「青い目をした人形紙芝居」などのイラストを手掛ける。現在、牛の世話を手伝いながら絵を描き続けている。
地元探訪~かつての修験道を訪ねて~「天子岩編」
野鳥のさえずりで目覚めた。谷底の朝はゆっくり時間が流れる。
あたりは明るいが、太陽の陽射しが注ぐまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
大鹿の谷間や稜線でよく野営をする近年であるが、今回の場所は今のところベスト1。谷間の空間と川の流れる音のバランスがいい。天候の条件もよかったのかもしれない。あと3、4日は滞在してもいいかな、、、このように修験者は思って山籠りをしていたのかもしれない。
朝食をとり、装備を整えて天子岩を目指す。
今日は昨日の沢登りとまではいかない穏やかな遡上。川を飛び越えたり、川底の石のをうまく使って川を渡る。地形が興味深い。視界が狭くなったと思ったらまた開けてくる。呼吸をしているかのような空間の広がりを見せてくれる南股。
しばらく草地の右岸を行く。沢とまではいかないが水がしみ出ているようなところがいくつかありカツラが多く目につく。地質はずるずると安定していない感じ。遠まきに天子岩の全容を確認。中国の山水画にあるような、岩の塊が忽然と現れる。噂に違わず神秘的な眺めだ。あの頂を目指す。
天子岩に近付くと左岸の森の中を歩く。こちらは針葉樹中心の植生。ヤツガタケトウヒも目につく。
大きなサワラの木を目印に石灰岩の苔むしたガレ場をのぼっていくと天子岩の直下だ。ヤツガタケトウヒのバレリーナ。遠くには栂村山、前茶臼が望める。
さて、天狗様は何処かと付近を散策する。
資料によれは石塔があるはず。(もっとちゃんと目を通しておけばよかった)
ここで自分が修験者だったら、どこに設置するかを考えた。
天子岩の肩のようなところが気になったので、石灰岩の割れ目を利用して12メートルほど直登してみる。
眺めがいいが、天狗様は祀られておらず。いかーんせーん・・・
登ってみたものの、これは降りれるのか!?という状況。
足の感覚を頼りに下る。
やはり天子岩の頂かと、今度は石灰岩の壁をまいていく。
30分ほど急峻なトウヒの林をよじ登っていくと尾根に出た。
コメツガと赤松の根っこがねじねじと階段をつくって、天狗様まで案内してくれた。
石塔は倒れていたが、「小天狗 天子山大天狗神 山之神」とある。
台座には寄進した人の名前が刻まれ 昭和17年5月15日とある。
敗戦の年の3年前か、、、
いろいろな願い、祈りがあったのだろうと推察する。
里から担いできたきゅうりと塩とナッツとウイスキーを献上し、
しばし天狗様との語らいの時間。
「リ●アから里をお守りください」
「マカセトケ」
とのこと。
谷の日暮は早い。天狗様の住処を後にした。
【本日のコースタイム】
■ 8:13 幕営場所出発
■ 9:00 天子岩直下到着
■ 10:13 大天狗様の石碑到着(天子岩頂)
■ 10:50 大天狗様出発
■ 11:45 幕営場所戻り
■ 12:20 幕営場所出発
■ 13:13 燕岩
■ 14:13 青木川 駐車場
(青木川上流/個人的回想)
後で地質図を見てみたら、今回訪ねた青木川の上流は様々な地質がまぜこぜ(メランジェ)になっている。地質境界が散在することが分かった。
確かに川底はいろいろな岩があって目にもカラフルで楽しかった。
そして構成している岩石の性質によって空間的ひろがりが拡張したり収縮したりしていた。私たちは、いろいろな物質の特徴(エネルギーの性質)の影響を知らず知らずのうちに受けているのではないだろうか。「生物多様性の保全」が叫ばれているが小難しい内容は置いといて、感覚的にいうと、つまり!「いろいろなエネルギーがある」ということは私たちをとても「楽しい気分」にさせてくれるのだ。
地元探訪~かつての修験道を訪ねて~「燕岩編」
大鹿村の山岳的景観によって醸されてきた歴史・文化に興味がある。
日本列島の北から南まで人間の背骨のように走っている山々。
必ずその麓に人が生活してきた。
大鹿村が温床としているのは本州の背骨。赤石山地。
3000mを越える9座の独立峰がある山域は北アルプスといえど及ばない。
大鹿村において山岳信仰は根強く、つい2~30年ほど前までは願掛けをし、成就のお礼参りなども盛んだったようだ。
様々な神が散在するここは山懐。
かつては修験の道だったといわれる青木川を遡った。
国道152の脇より林道に入る。
ほどなくすると「大山紙神」の社が現れ、入山の許可をいただく。
ここからは青木川にそって堤防を何個か越えていく。
ちょうど渡渉がはじまる手前で大きなサワラの木が出迎えてくれる。
樹齢はどのくらいだろうか・・・
その前には石垣が設けられ祠があった形跡が見受けられる。
戦前、戦中にかけてこの奥の天子岩に多くの参拝者が行き来していたという。
このサワラはずっと彼らを見守ってきたのだろう。
この燕岩周辺は釣人たちには今でも人気のスポットらしい。
道といえる道ではないが、よく踏みならされている。たまにそこに熊の足跡がかさなる。
歩きやすところはどんなイキモノも一緒なんだ。
かつての林道を歩いたり、崩壊しているところは渡渉したり、まいたりしながら1時間ほどで燕岩(つばくろいわ)に到着。
不動の石灰岩が左右にそびえ立ち、川底から見上げればヒカリの流れもそこにある。壮大な大地のスケールを感じずにはいられない。
かつて海の底で堆積した微生物たちの死骸がこうなっちゃうんだから凄い。
そんな燕岩の絶景を跡に岩の隙間をよじ登っていくと北股、地獄谷という支流が合わさってくる。川の名前も南股にかわかる。
上流は石灰岩やチャートの大きな岩がごろごろとしており、軽いクライマー気分を味わう。川底は少しぬるっと苔がついているので気をつけなければいけない。
足を乗せた感触を頼りに進む。
遡れば遡るほど川幅は狭くなり、流れの一部はレキの下をくぐる伏流水となっている。
地獄谷からおよそ1時間あまり。すこし平地がある場所で野営することにした。
たき火(※)が思いのほか上手にできたので、うれしくて
暗くなるまで薪をあつめてはくべて温まった。流木の上でついついうとうとしてしまった。洗濯物も乾いた。
(※)本来、山ではたき火は禁止ですが、天狗様、秋葉様に許可をいただき
行っています。
【本日のコースタイム】
■ 9:45 自宅出発
■ 10:20 林道歩き
■ 11:35 燕岩到着
■ 12:15 燕岩出発
■ 14:30 幕営